建設業経理士1級の試験の概要 独学合格は可能か?勉強時間はどの位?
試験の概要
建設業経理士とは、「日商簿記検定」と
同じ会計系の資格の一つ。級は1級から
4級まであり、1級は年に2回(3月と9月)
実施されます。
2級から4級は1度合格すればそれでOK
ですが、1級は
- 財務諸表
- 財務分析
- 原価計算
という3つの科目があり、これら
全ての科目に合格して初めて合格と
なります。(合格点は全て70点以上)
独学合格は可能か?その道のりは?
一度に受験する科目数は3科目全てでも
1科目ずつでもOKなので、1科目ずつ
じっくり勉強して確実に…というやり方も
アリだと思います。但し、科目合格には
5年という有効期限が設定されているので、
この期限内の全科目の合格が必要です。
合格率は3科目とも25%前後。科目合格が
5年有効と考えると独学でも合格は十分
可能だと思います。
ただ、いきなり1級を受けるよりは
日商簿記or建設業経理士2級合格
→建設業経理士1級にトライ
が個人的にはお勧めの流れです。
ちなみに私は日商簿記2級に合格後、
日商簿記1級の勉強を少し進めた所で
この資格の存在を知り、力試しの目的で
受験して合格しました。
因みに合格した科目の順番は、
財務諸表→財務分析→原価計算
だったのですが、
3科目同時合格に失敗
→2科目同時合格に失敗
→原価計算合格
と、順風満帆とは言えない道のりでの
合格でした…。
今考えると、「日商の2級に一発合格
したし、難易度も大して変わらないから
簡単に受かるだろう」と言う驕りが
多分にあったからだろうと思います。
↓私が使ったテキスト&過去問はこちら
科目毎の出題概要は?
財務諸表
- 第1問 理論記述問題(20点)
- 第2問 理論穴埋め問題(14点)
- 第3問 理論正誤判定問題(18点)
- 第4問 個別論点計算問題(12点)
- 第5問 精算表作成問題(36点)
財務分析
- 第1問 理論記述問題(20点)
- 第2問 理論穴埋め問題(15点)
- 第3問 財務諸表数字推定穴埋め問題(20点)
- 第4問 個別論点計算問題(15点)
- 第5問 財務諸表各指標計算問題・
論点穴埋め問題(30点)
原価計算
- 第1問 理論記述問題(20点)
- 第2問 理論穴埋め問題(10点)
- 第3問・第4問 個別論点計算問題(14点・18点)
- 第5問 完成原価報告書作成問題(38点)
各科目の出題形式・配点は以下の通りです。
科目毎の細かい内容などは個別の記事(財務諸表・
財務分析・原価計算)を読んで頂くとして、
御覧の通りどの科目も計算問題の配点が高いです。
効率的な勉強法は?
勉強の流れとしては、テキストを
2回程度通読して勉強事項をある程度
把握しておき、その後は出来るだけ
早い時期に過去問による問題演習に
移るのが効率的です。
過去問で解けない問題が出て来たら
テキストに戻り該当箇所を読み、
その後再びその問題を解きましょう。
この
過去問解く→分からない問題を
ピックアップ→テキスト読む→再び解く
の流れを繰り返すにより記憶の定着率が
格段に上がります。
また、試験科目は1科目90分ですが
計算問題をかなりの数こなす為、
少しでも問題を解く過程での時間の
短縮に努める必要があります。
その為にまず絶対取り組むべき事は
電卓を左手で打てる様になる事
です。
仮に右手で打つとすると、計算に
移る度にペンを置いて、持ち直して…、
を繰り返す事になり、この動作が
積み重なる事でかなりのタイムロスに
なり、ほぼ100%時間が足りなくなり
問題を解き切れなくなります。
(事実、私は最初の受験の時に
この「左手打ち」をマスターして
いなかった事で3科目とも時間が
足りなくなりました…)
受験料や申込期限は?
そして、受験で払う受験料は1回で
受験する科目数によって次の通りです。
- 3科目同時 14,720円
- 2科目同時 11,420円
- 1科目 8,120円
よって、1科目あたりの受験料は
3科目同時が「約4907円」と一番安価です。
よって
「3科目同時は手っ取り早いし
受験料もお得だ!」
と思いがちですが、この試験は「日商簿記1級」と
勉強範囲が被るのでかなり範囲は広め。
勿論3科目同時合格を果たした方も沢山
いらっしゃるのですが、勉強時間を確保
出来る自信が持てない方などは、1回で
1科目ずつ確実に合格するプランを
立てるのが賢明かと思われます。
仮に3科目同時合格を狙って1科目でも
落ちると、その時点で8,120円受験料が
上乗せされることになり、この時点で
1回1科目ずつ受験した時とそう変わらない
受験料になります。
また、3科目同時合格を逃してしまった場合
それまでの反動でモチベーションの低下も
懸念され、勉強に集中出来なくなり合格に
時間が掛かってしまう恐れもあります。
そう言った事を防止する意味でも、
また上記の様な個人的な経験からも
特に勉強の機会を確保できる自信が
持てない方は1回1科目ずつの受験を
お勧めします。
また、受験の申込期限については
- 上期 インターネット申込 5月中旬
書面申込 6月中旬 - 下期 インターネット申込 11月中旬
書面申込 12月中旬
とかなり締切が速いので、
「まだ大丈夫だと思ったらもう締切だった…」
とならない様にご注意下さい。
必要な勉強時間は?
そして、合格に必要な勉強時間ですが、
これは科目によって少し異なり、
個人的感覚では
- 財務諸表 100時間前後
- 財務分析 50-60時間前後
- 原価計算 70-80時間前後
科目毎に大体これ位の時間が必要です。
ここ1,2年程財務諸表は難化傾向なので
一番勉強時間が必要です。
逆に財務分析は計算問題メインで、
公式の暗記が中心なのでその覚え方次第で
より勉強時間を短縮する事も可能です。
原価計算も同じく計算問題メインですが
第3・4問の個別論点問題で日商簿記1級と
同じ分野の難しめの問題も出るので、
その部分の理解に必要な時間を考慮して
財務分析より長めの時間を設定しました。
まとめ
この記事では主に
- 事前に日商簿記2級か建設業経理士2級を勉強する
- なるべく早く過去問演習に取り掛かる
- 試験の申込期限を忘れない
- 財務諸表に一番勉強時間を取る
という事を書かせて頂きました。
この試験の合格を目指す方のお役に少しでも
立てれば幸いです。
ここまでお読み頂き有難うございました。
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